みなさんこんにちは。下関市にあるだて整形外科リハビリテーションクリニック 院長の伊達亮です。
骨粗鬆症は「サイレント・キラー【沈黙の病】」とも言われ、気づかぬうちに進行し、ある日突然骨折して初めて気づくことも少なくありません。今回は、骨粗鬆症の症状やリスク部位、骨密度の基礎知識、そして予防や診療について、整形外科医の視点からわかりやすくお伝えします。
骨粗鬆症は骨密度が低下し、骨がもろくなることで骨折リスクが高まる病気です。初期症状が少なく進行に気づきにくいため、注意が必要です。
骨粗鬆症は骨量(骨密度)が減る、または骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。自覚症状が乏しく、骨折してから診断されることも多いです。骨粗鬆症の症状には、背中や腰が痛む、背中や腰が曲がってくる、身長が縮んでくる、 ちょっとしたはずみで転倒し骨折することなどが挙げられます。
本記事では、骨粗鬆症の症状やリスク、骨密度の基礎知識、日常生活での予防方法について紹介します。
高齢化が進む現代社会において、骨粗鬆症は多くの人に関わる身近な健康課題となっています。骨粗鬆症とは、骨の密度が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことを指します。特に自覚症状が乏しいまま進行することが多いため、サイレント・キラー【沈黙の病】とも呼ばれています。加齢とともに避けて通れない問題のひとつですが、正しい知識と行動によってリスクを軽減することが可能です。
骨粗鬆症は初期段階ではほとんど症状がなく、気づかないうちに進行していくのが特徴です。多くの人が「ある日突然骨折した」ことをきっかけに診断されるケースが少なくありません。骨の密度が徐々に減少していくことで、背中や腰に鈍い痛みを感じたり、身長が縮んできたりすることがあります。また、背骨が圧迫骨折を起こすと、姿勢が前かがみになり、いわゆる「円背(えんぱい)」と呼ばれる状態になることもあります。見た目の変化や慢性的な痛みを伴うため、生活の質にも影響を及ぼすことがある点が重要です。
骨粗鬆症によって引き起こされる骨折の中でも、特に注意すべきなのが背骨(脊椎)、手首、そして大腿骨の付け根(大腿骨近位部)です。これらは「脆弱性骨折」とも呼ばれ、高齢者の転倒をきっかけに骨折しやすい部位です。とくに大腿骨近位部の骨折は、要介護状態につながる重大なリスクを含んでいます。また、背骨の圧迫骨折は、重い物を持ち上げたときや、咳・くしゃみをしただけでも起こることがあり、痛みを我慢して放置することでさらに悪化する可能性があります。日頃からの骨の健康チェックと、転倒防止の環境づくりが不可欠です。
骨密度とは、骨の中にどれだけのカルシウムやミネラルが詰まっているかを示す数値を指します。この数値が高ければ骨がしっかりしており、低ければ骨がスカスカになって折れやすくなります。病院では「骨密度測定検査」によって骨の状態を調べることができ、最も一般的な方法は「DXA法(デキサ法)」と呼ばれる二重エネルギーX線吸収測定です。腰椎や大腿骨の骨密度を調べることで、骨粗鬆症の診断や治療効果の判定に役立ちます。骨密度は年齢とともに自然に低下していくため、女性は閉経前後にあたる45歳以降・男性も60歳以上の方は定期的な検査が推奨されています。通常は、大腿骨近位部は片側しか測定しませんが、当院では両側を測定しています。(自己負担金は片側でも両側でも同じです)これは、大腿骨近位部の骨密度は左右差を生じるケースが多いためです。
骨密度の低下にはさまざまな要因が関与しています。最も大きな影響を与えるのは「加齢」と「ホルモンバランスの変化」です。特に閉経後の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで骨の新陳代謝が崩れ、骨密度が大きく低下します。さらに、運動不足、カルシウムやビタミンDの不足、過度なダイエット、喫煙や過度な飲酒などの生活習慣も骨粗鬆症を進行させる原因となります。また、糖尿病やリウマチなどの慢性疾患、特定の薬剤の長期使用もリスクを高めるため、これらに該当する人は特に注意が必要です。
骨粗鬆症を予防するには、日常生活の中で骨を意識した行動が欠かせません。
まず、栄養面ではカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどを意識的に摂取することが重要です。乳製品、小魚、緑黄色野菜などをバランスよく取り入れることが勧められます。また、日光を浴びることでビタミンDが体内で生成されるため、適度な日光浴も効果的です。
運動に関しては、骨に負荷をかけることで骨密度が保たれるため、ウォーキングや軽い筋力トレーニングを継続的に行うとよいでしょう。さらに、転倒を防ぐために住環境を整えることも大切です。敷居の段差や滑りやすい床には対策を講じ、夜間の足元照明などにも配慮することで事故を未然に防ぐことができます。
骨粗鬆症は静かに進行するため、症状が現れた時にはすでに骨折などの重大な問題を引き起こしていることもあります。だからこそ、予防と早期発見が鍵となります。骨密度検査を定期的に受けることで、自身の骨の状態を把握し、必要に応じて医師と相談のうえで治療を開始することが可能です。生活習慣を見直すことで、骨の健康は大きく守られます。食事、運動、日光浴といった基本的な健康習慣を続けることが、将来の骨折や寝たきりを防ぐ第一歩となります。
【整形外科での骨密度検査をご希望の方は】
https://www.date-c.com/examine-and-treatment/osteoporosis/
【骨粗鬆症のご相談・診察予約は】
https://dateseikei.reserve.ne.jp/sp/index.php?
TEL. 083-254-0022
診療時間:午前9:00-12:00 午後15:00-18:00
休診:日曜日・祝日・水曜日・土曜日午後
※この記事は、整形外科専門医・骨粗鬆症学会認定の伊達亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック院長)が監修しています。下関市で骨粗鬆症の診察をご希望の方は、当院までお気軽にご相談ください。