だて整形外科リハビリテーションクリニック

痛風 gout

痛風についてご紹介いたします。

痛風について

痛風とは、血中尿酸値が高い状態が継続することで発症する病気です。発作的な関節炎が起き、大人でも2~3日は歩けなくなるほどの痛みを伴います。特に足の親指の付け根に激痛が走るのが特徴です。

また、痛風の患者さんは、100人中99人が男性です。男性の方は特に注意が必要です。

原因

「プリン体」を過剰に摂取する食生活や、尿酸を排出する機能の低下が原因です。

合併症

痛風は一度発症すると完治が難しく、腎障害・尿路結石・高脂血症・糖尿病などの合併症も引き起こします。

予防方法

  • 規則正しい生活
  • バランスの良い食生活
  • ストレスをためない生活
  • 定期的な健康診断で尿酸値をチェック

以上のことに気をつけ、予防を心がけましょう。

高尿酸血症について

高尿酸血症になったからといって、すぐに痛風になるわけではありません。しかし、尿酸値が6.0mg/dlを超えると、体の中では尿酸が蓄積する方向に向かいます。7.0mg/dlを超えると、尿酸結晶が関節に沈着し、関節炎などの発作が起こりやすくなります。

この状態が続くと、関節内に尿酸の結晶がたまり痛風発作を起こします。

尿酸値(mg/dl) 危険度 発作リスク  
9.0 とても危険 60%以上 体内に尿酸がたまっていく尿酸値
8.0 約30%
7.0 危険 約10%
6.0 やや危険  
5.0 安全 尿酸の結晶が溶け出す尿酸値
4.0

尿酸上昇の原因

  • プリン体の多い食事
  • 飲酒
  • 激しい運動・脱水
  • 肥満
【画像】尿酸上昇の原因

高尿酸血症の治療

治療のアルゴリズム

【画像】治療のアルゴリズム

食事

プリン体の摂取を1日400mg以下にすることが重要です。
食事とアルコール中のプリン体量に少しだけ注意してみましょう。

プリン体の多い食事

  • 大正えび
    273.2mg/100g
  • 干物 にぼし
    746.1mg/100g
  • レバー
    284.8mg/100g
【画像】プリン体の多い食事

プリン体の排泄を促してくれる食事

  • ヨーグルト
  • 牛乳
【画像】プリン体の排泄を促してくれる食事
プリン体摂取は400mg/日以下

アルコール

  • ビール
    500ml プリン体44mg(K社)
  • 焼酎1/2合
    100ml プリン体0mg
  • 日本酒1合
    180ml プリン体2.7mg

ビールをハイボールに変えると、大幅にプリン体が下がりますが、アルコール度数が高くなるにつれ、尿酸値は上がりやすくなります。焼酎などは、薄く割って、飲みすぎないようにしましょう。
休肝日を設けることも重要です。

【画像】アルコール

注射

エコーガイド下の注射

  • 痛風がもっとも起こりやすい母趾MTP関節(中足骨と基節骨間)にステロイド入りの注射を行います。即効性がありますが、結晶が消えるわけではありません。一度発作が起こると、内服薬をまじめに飲んで、尿酸値を6.0mg/dl以下に抑え続けても、結晶が消えるまで5年!!もかかります。しっかり、内服薬を服用しましょう!
【画像】母趾MTP関節(中足骨と基節骨間)にステロイド入りの注射
尿酸血症が消えるまで5年はかかる!!
*Schumacher HR Jr et al Rheumatology 2009:48(2) 188-194

薬物治療

以下の内服薬を病態に合わせて使用しています。
副作用が比較的少ないことや腎機能低下症例にも比較的使用許容度が高いことから、当クリニックではフェブキソスタット(フェブリク®)をよく処方しています。

  一般名 商品名 内服方法
尿酸生成抑制 フェブキソスタット フェブリク® 10mgから開始し、数週間かけて40mgまで増量(最大60mg)
尿酸排泄促進薬 ドチヌラド ユリス® 0.5mg/日から開始し、2ヶ月かけて2mg/日まで増量(最大4,mg/日)
治療開始後は、尿酸値を6.0mg/dl以下にすることが重要です!!

よくある質問

はじめて尿酸値の異常を指摘されました?どうしたらよいでしょうか?
尿酸値が高いからといって、すぐに痛風発作が起こるわけではありません。
ただ、尿酸値が7.0mg/dl以上の状態が5年以上続くと、痛風発作が起こりやすくなります。異常を指摘されたら、早めに内服を始めましょう。
プリン体が多いビールだけ控えていれば大丈夫ですか?
尿酸値は、プリン体だけでなく、アルコールそのものでも上がります
プリン体0の焼酎などに変更しても、飲みすぎてしまうと意味がありません。
薬を飲みたくないのですが・・・
厳格に食事制限しても、尿酸値が下がるのはせいぜい0.5mg/dlしかありません。一生、ストイックな食生活を送るよりも、食べすぎ・飲みすぎに注意しながら、薬を飲んでいただき、ゆるやかな食事制限を行うほうがいいと思います。
発作がなくなり、尿酸値も正常なので、薬をやめてもいいですよね?
治療は薬物で尿酸値を下げて、関節内の尿酸を溶かします。尿酸値が5年以上高いといわれていたのに治療を受けていなかった方は、消えるのに5年以上かかります。溜まるまでかかった以上に治療期間は必要です。
治療を始めたのに、発作が起こってしましました。大丈夫ですか?
治療を開始した直後は尿酸値が急激に下がるため、発作が起こりやすくなります。
発作が起こった場合でも尿酸値を下げる薬は継続したまま、痛み止めを併用しましょう。