こんにちは。だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長の伊達亮です。
今日はPRP療法について皆さんにわかりやすくご説明させていただきます。
「正座や階段の上り下りがつらい」
「ヒアルロン酸注射を続けているけど、効果が薄れてきた気がする」
「手術は避けたいけど、これ以上痛みを我慢するのも限界…」
このような慢性的な膝の痛みにお悩みの方に注目されているのが、**PRP療法(多血小板血漿療法)**です。特に、変形性膝関節症の患者さんにとって、再生医療のひとつであるPRPは「手術以外の選択肢」として希望をもたらしています。
この記事では、PRP療法の特徴・対象疾患・効果・他治療との違いまで、わかりやすくご紹介します。
PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法とは、自分自身の血液から抽出した血小板が豊富に含まれる血漿を膝関節内に注射し、組織の修復や炎症の軽減を促す治療法です。
血小板には「成長因子」という組織の回復を助ける物質が多く含まれており、それを痛みのある部位に集中させることで、関節内の炎症を抑えたり、損傷した軟骨の修復をサポートします。
近年ではスポーツ選手のけがの治療にも広く使われており、安全性が高く、副作用が少ないことも特徴です。
PRP療法は、以下のような方に特におすすめです。
変形が重度(グレードⅣ)で骨のすり減りが著しい方には、PRP単独では効果が限られる可能性があるため、専門医による評価が重要です。
比較項目 | PRP療法 | ヒアルロン酸注射 | 手術(人工関節) |
効果の持続 | 数か月〜1年程度(個人差あり) | 2〜4週間程度 | 半永久的(手術成功時) |
侵襲性 | 低い(注射のみ) | 低い | 高い(入院・リハビリ必要) |
副作用 | 極めて少ない(自己血使用) | 少ない | 感染・合併症リスクあり |
費用 | 保険適用外・自費 | 保険適用 | 保険適用あり(高額) |
メリット | 再生力の活用、自然治癒の促進 | 関節の滑りを良くする | 強い痛みの解消、変形の修正 |
PRPは“中間的な選択肢”として、手術を回避したい方や、他の保存療法に効果がなかった方に向いています。
当院では、以下の流れで安全・清潔にPRP療法を提供しています。
ACPの場合
PFC-FDの場合
入院は不要です。
通常は1回〜3回の注射で効果を実感する方が多く、効果の持続には個人差があります。
Q:PRP注射は痛いですか?
A:通常の注射と同程度の痛みです。採血と関節内注射の2回行います。
Q:副作用はありますか?
A:自己血液を使用するためアレルギーや拒絶反応のリスクは非常に少ないですが、ごくまれに注射部位の腫れや熱感が出ることがあります。
Q:保険は使えますか?
A:PRP療法は2025年時点では保険適用外の自由診療です。費用は当院の窓口にてご案内いたします。
Q:何回受ければいいですか?
A:基本は1回でも効果が期待できますが、症状や進行度によって1〜3回の注射をおすすめしています。
膝の痛みに悩みながら、「手術は避けたい」「でも今のままもつらい」と感じている方へ。
PRP療法は、これまでの治療で改善しなかった方にとって、自然な回復力を活かす新しい選択肢です。
まずは診察でPRP療法が適応になるかどうかを一緒に確認しましょう。
ご予約・お問い合わせは、お電話または当院ホームページの【WEB予約フォーム】から承っております。
日本整形外科学会専門医 伊達 亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長)
福岡大学医学部医学科を卒業後、山口大学医学部付属病院整形外科・麻酔科での経験を経て現職に至る。日本整形外科学会専門医 、日本骨粗鬆症学会専門医 、日本リハビリテーション医学会専門医 など多岐にわたる専門医資格を保持し、地域の「寝たきりゼロ」をミッションに掲げ、骨粗しょう症の早期発見・早期治療、および運動器リハビリによる転倒予防に尽力している。