だて整形外科リハビリテーションクリニック

みんなで目指す「寝たきりゼロ」!だて整形外科の骨を守るチーム

2025/07/22

本記事は、帝人ファーマ社内講演会(2025.6.18)にて講師として登壇した内容をもとに、高校生向けにわかりやすく再構成した全4回シリーズの第4回です。医療やからだについて学ぶきっかけとして、ぜひご活用ください。

はじめに:骨粗しょう症治療は、なぜチームで行うの?

こんにちは!下関の整形外科「だて整形外科リハビリテーションクリニック」です。これまで、骨粗しょう症がどんな病気か、どんな人が骨折しやすいか、そしてどんなお薬があるかについてお話ししてきましたね。最終回となる今回は、私たちのクリニックでどのように

チームで皆さんの骨を守っているのかをご紹介します 。

骨粗しょう症の治療は、ただお薬を出すだけではありません 。患者さん一人ひとりの生活や体の状態に合わせて、様々な専門スタッフが協力してサポートしています 。なぜチーム医療が大切なのか、私たちだて整形外科の取り組みを通して見ていきましょう!

私たちが目指す「寝たきりゼロ」

だて整形外科リハビリテーションクリニックでは、患者さんがいつまでも元気に、そして自分らしく生活できることを一番に願っています。そのために掲げている目標の一つが、「寝たきりゼロ」です 。

日本では、3人に1人が骨折を経験すると言われています 。特に、太もものつけ根の骨折(大腿骨近位部骨折)は、寝たきりや介護が必要になる大きな原因となります 。平均83.3歳で起こり、この骨折をすると40%の人が以前のように歩けなくなり 、1年後の死亡率も10.1%に上るというデータがあります 。さらに、骨折が原因で介護になった場合の5年間の費用は、約1500万円(1540万円)にもなるとされています 。

このような現状を少しでも変えるために、当院では以下の取り組みを推進しています 。

  • 早期からの骨粗しょう症治療 :骨がもろくなる前に、あるいは症状が軽いうちから介入します。
  • 関節疾患への対応 :骨だけでなく、膝関節を中心として関節の健康も総合的にサポートします。
  • 高齢者リハビリテーションによる筋肉量維持 :筋力を保つことで、転びにくく、活動的な体を維持します。
  • 転倒予防 :リハビリなどを通して、転倒のリスクを減らします。
  • 骨折しにくい骨作り :薬や生活習慣の改善で、丈夫な骨を育てます。

骨折の「ドミノ倒し」を防ぐ:最初の骨折を最後の骨折に

以前もお話ししましたが、一度骨折してしまうと、また別の場所を骨折するリスクが非常に高まります。この現象は「骨折連鎖」と呼ばれ、まるでドミノ倒しのように次々と骨折が起こってしまう危険性があります 。

特に、背骨の骨折がある人は1年以内に14倍、骨盤は12倍、大腿骨頸部は8倍、足首でも5倍、次の骨折リスクが高まるというデータがあります 。この連鎖を断ち切ることが、骨粗しょう症治療において非常に重要です 。

私たちは、手首の骨折などの最初の骨折を**「ラッキーブレーク(幸運な骨折)」**と捉えています 。これは、骨粗しょう症だと気づく「幸運なきっかけ」という意味です 。この最初の骨折に早期に介入し 、適切な治療を始めることで、その後の骨折リスクを大幅に下げることができるのです 。国際骨粗鬆症財団も「最初の骨折を最後の骨折に」というスローガンを掲げています 。

だて整形外科の「骨を守るチーム」とそれぞれの役割

骨粗しょう症の治療は、医師だけで行うものではありません。患者さん一人ひとりの状態に合わせたサポートを提供するために、当院では様々な職種のスタッフが連携を取り合っています 。

1. 医師(院長)

  • 骨粗しょう症の診断、治療方針の決定、お薬の選択を行います。
  • 患者さんの症状や骨の状態を総合的に判断し、最適な治療プランを提案します。
  • 最新の治療ガイドラインや研究結果に基づき、常に質の高い医療を提供できるよう努めています。
  • 両側の大腿骨骨密度測定の重要性を提唱しており、片側のみの測定では見逃される可能性のある治療機会を減らす取り組みをしています 。実際に、腰椎と片側大腿骨が正常でも、対側の大腿骨がYAM70%以下だった方が14.2%(581人)いました 。

2. 骨粗鬆症マネージャー

  • 「骨粗鬆症学会リエゾンマネージャー」や「院内認定マネージャー」などの専門資格を持ったスタッフです 。
  • 患者さんと医師の間に立って、骨粗しょう症の病気や治療、検査について、分かりやすく説明をしてくれます 。
  • 患者さんの疑問や不安を解消し、治療への理解を深めるサポートを行います。
  • 当院では看護師、理学療法士、医療事務のスタッフが資格を保有しています

3. 理学療法士(リハビリの専門家)

  • 転倒による骨折を防ぐための体づくりをサポートします 。
  • 患者さん一人ひとりの運動能力や体の状態に合わせた、筋力トレーニングやバランス訓練など、具体的なリハビリメニューを提案し、指導します。
  • リハビリテーションを受けている患者さんには、骨密度検査の受診を推奨するなど、骨の健康への意識付けも行っています 。

4. 看護師

  • お薬の注射方法の指導(特に自己注射の場合)や、副作用についての説明を行います 。
  • 日常生活で気を付けるべきこと(食事、運動、転倒予防の工夫など)について、具体的なアドバイスを提供します 。
  • 患者さんの日々の状態を把握し、医師との橋渡し役も担います。

5. 受付スタッフ

  • クリニックの「顔」として、患者さんの通院をスムーズにサポートします 。
  • 予約の調整や、検査・会計の手続きなど、患者さんが安心して治療に専念できる環境を整えます。

このように、だて整形外科リハビリテーションクリニックでは、様々な専門職がそれぞれの知識と経験を活かし、密に連携を取りながら、患者さんの骨の健康を多角的にサポートしています。このチーム医療によって、私たちは「寝たきりゼロ」という大きな目標に向かって日々取り組んでいます。

治療を続けること、そして自分の体に関心を持つことの大切さ

骨粗しょう症の治療は、長く続けることが大切です。お薬の継続率は、薬剤の種類によっては3割程度と低いものもありますが 、治療を継続することで、骨密度が改善し、骨折リスクを減らすことができます 。特に、2年以内に骨密度を治療目標(例えばYAM70%以上)に到達させることが重要だと言われています 。

また、治療や検査を受けるだけでなく、「自分の体に関心を持つこと」も非常に重要です 。若い世代のみなさんには、まだ骨粗しょう症は遠い病気のように感じるかもしれません。しかし、今日の健康が、将来の骨の健康につながります。バランスの取れた食事、適度な運動、そして定期的な健康チェックを心がけることで、将来の骨折リスクを減らすことができるのです。

おわりに:これからも一緒に、骨を大事にしていこう!

全4回にわたる「高校生にもわかる!骨粗しょう症のお話」は今回で最終回となります。このブログを通して、骨粗しょう症のこと、そして骨の健康がいかに大切か、少しでも理解を深めてもらえたら嬉しいです。

だて整形外科リハビリテーションクリニックは、下関で地域のみなさんの骨の健康を守るために、日々努力しています。もし、ご自身やご家族の骨の健康について気になることがあれば、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。私たち「骨を守るチーム」が、全力でサポートさせていただきます。

これからも元気な毎日を過ごせるよう、一緒に骨を大事にしていきましょう!

監修者情報

日本整形外科学会専門医 伊達 亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長)
福岡大学医学部医学科を卒業後、山口大学医学部付属病院整形外科・麻酔科での経験を経て現職に至る。日本整形外科学会専門医 、日本骨粗鬆症学会専門医 、日本リハビリテーション医学会専門医 など多岐にわたる専門医資格を保持し、地域の「寝たきりゼロ」をミッションに掲げ、骨粗しょう症の早期発見・早期治療、および運動器リハビリによる転倒予防に尽力している。