「注射や薬では治まらない膝の痛みが、高周波(ラジオ波)で本当に軽減するの?」「体に熱を加えるなんて、安全なの?」
変形性膝関節症による慢性的な痛みに苦しむ方にとって、クーリーフ(Coolief)治療は、手術を避けながら痛みをコントロールできる革新的な治療法です。しかし、その治療の核となる「ラジオ波」のメカニズムについて、疑問や不安を感じるのは当然のことでしょう。
本記事では、日本整形外科学会専門医であり、痛みの治療とリハビリテーションの専門家でもある当院の院長が、クーリーフ治療の仕組みを科学的根拠に基づき、分かりやすく徹底的に解説します。このメカニズムの理解こそが、クーリーフがなぜ長期間にわたる高い疼痛軽減効果と安全性を発揮できるのかを知る鍵となります。
クーリーフ治療が他の治療法と根本的に異なるのは、膝の痛みの伝達経路を直接ターゲットにする点です。
変形性膝関節症の痛みは、関節軟骨の摩耗や炎症によって関節包や靭帯が刺激されることで発生します。この刺激をキャッチし、「痛い!」という信号を電気信号として脳に伝えるのが、末梢の感覚神経(知覚神経)です。
クーリーフ治療の目的は、この信号伝達を担う主要な3本の膝神経(上内側膝神経、下内側膝神経、上外側膝神経など)の働きを抑えることです。
ターゲットとなる感覚神経に対し、特殊な構造を持つ針(プローブ)の先端から高周波の電気エネルギー(ラジオ波)を流します。ラジオ波は、体内にある細胞や組織を振動させ、その摩擦熱によって神経細胞の一部を熱凝固(焼灼)させます。
この熱凝固によって、神経細胞の構造が変化し、電気信号(痛みの信号)を伝える機能が一時的かつ長期的に停止します。これにより、痛みは続いているにもかかわらず、脳が「痛い」と感じることはなくなります。
クーリーフシステムは、単に熱を加えるだけでなく、独自の冷却技術を組み合わせることで、従来のラジオ波治療の限界を打ち破り、その効果と安全性を飛躍的に高めています。
通常のラジオ波治療では、針の先端の非常に狭い範囲しか焼灼できませんでしたが、クーリーフでは針の先端部を内部の冷却液で冷やし続けます。
感覚神経と、膝の曲げ伸ばしを司る運動神経は、近くを走行していることが多いため、誤って運動神経を焼灼すると、筋肉の麻痺などの重篤な合併症につながる可能性があります。クーリーフ治療では、このリスクを最小限に抑えるため、以下の安全対策を徹底します。
この高精度な技術と厳格な安全確認体制により、痛みのみをブロックし、膝の機能(動き)は維持することが可能です。
クーリーフによる長期的な疼痛軽減は、神経の機能停止期間を利用して、患者さんが活動的な生活を取り戻すための時間を作り出すことにあります。
焼灼された神経組織は時間をかけてゆっくりと再生・修復されます。この再生するまでの期間(約1年~2年)が、患者さんが痛みから解放される期間となります。
クーリーフ治療が成功しても、膝の変形や筋力低下が治るわけではありません。痛みがなくなった状態を最大限に活かすことが、長期的な予後には不可欠です。
クーリーフ治療は、高性能な機器に加え、痛みの神経解剖を熟知し、超音波エコーを駆使できる医師の技術力に依存します。
だて整形外科リハビリテーションクリニックでは、整形外科専門医としての豊富な知識と、リハビリテーション医学専門医としての機能回復への知見を融合させ、安全かつ効果的なクーリーフ治療を提供しています。
「なぜ痛みが取れるのか」という仕組みを理解することで、不安が解消され、治療への確信が持てるはずです。膝の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。
日本整形外科学会専門医 伊達 亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長)
福岡大学医学部医学科を卒業後、山口大学医学部付属病院整形外科・麻酔科での経験を経て現職に至る。日本整形外科学会専門医、日本骨粗鬆症学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医など多岐にわたる専門医資格を保持。地域の「寝たきりゼロ」をミッションに掲げ、骨粗しょう症の早期発見・早期治療、および運動器リハビリによる転倒予防に尽力している。
本記事は、公的機関の発表、および国内外の信頼できる臨床報告に基づき作成されています。