股関節の痛み、原因と治療法は?変形性股関節症の可能性

2025/08/27

1. はじめに

「歩くと股関節が痛い」「階段の上り下りで違和感がある」「長く立っていると脚の付け根がだるい」
40〜70代の方に多く見られるこうした症状、実は変形性股関節症が関係している可能性があります。

股関節は、骨盤と大腿骨をつなぐ大切な関節で、歩く・立つ・しゃがむといった日常動作のほとんどに関わります。痛みや動きの制限が進むと、生活の質が大きく低下してしまいます。

この記事では、特に「手術以外の改善方法」や「治療法の違い」を知りたい方に向けて、股関節痛の原因と治療法について詳しく解説します。

2. 治療法の概要と特徴(仕組み・目的)

股関節痛の治療は、大きく分けて保存療法(手術以外)と手術療法に分かれます。
ここでは、まず多くの方が選択する保存療法について説明します。

保存療法の目的

  • 痛みを和らげる
  • 股関節の動きを保つ・広げる
  • 関節の変形や進行をできるだけ遅らせる

主な治療法

  1. 薬物療法
    鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs)や湿布を使って炎症や痛みを抑えます。
    ※長期使用は胃腸障害や腎機能低下のリスクに注意が必要です。
  1. リハビリ(運動療法)
    理学療法士、作業療法士の指導のもと、股関節周囲の筋肉を鍛えて負担を減らします。ストレッチで柔軟性を保つことも重要です。
  2. 装具療法
    杖や股関節サポーターを使って、関節への負担を軽減します。
  3. 注射治療
    ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射で炎症を抑え、痛みを軽減します。

3. 対象となる疾患や症状(どんな人におすすめか)

保存療法は以下のような方に適しています。

  • 痛みはあるが、日常生活はある程度送れている
  • レントゲンやMRIで軽度〜中等度の変形性股関節症と診断された
  • 手術はできれば避けたい、または時期を先延ばしにしたい
  • 痛みを抑えて日常生活の質を保ちたい

特に変形性股関節症は、女性・40歳以上・家族に股関節疾患の既往がある方に多いとされます(日本整形外科学会調査)。

4. 他の治療法との違いやメリット・デメリット

治療法メリットデメリット
保存療法手術を回避できる・日常生活を続けながら治療可能劇的な改善は難しい・進行を完全には止められない
手術療法(人工股関節置換術など)痛みの大幅改善・可動域拡大入院・リハビリが必要・手術リスク(感染、脱臼など)

5. 当院で行っている治療内容

当院では、まず**詳しい問診と画像検査(レントゲン)**を行い(MRIが必要な場合はは他院で)、原因と進行度を確認します。
そのうえで、以下の治療を組み合わせて行います。

  • 薬物療法(胃腸への影響を考慮し、最小限の使用を心がけます)
  • 専門的リハビリ(理学療法士による筋力強化・歩行訓練)
  • 関節注射(必要に応じてヒアルロン酸)
  • 生活動作指導(正しい歩き方・座り方・体重管理のアドバイス)

手術が必要な場合も、提携医療機関と連携してサポートします。

6. よくある質問(Q&A)

Q1. 副作用はありますか?
薬は胃腸障害、腎機能低下、注射は感染や関節の炎症の可能性があります。当院ではリスクを最小限にするため、投与間隔や使用期間を管理しています。

Q2. 保険は効きますか?
薬・リハビリは健康保険が適用されます。人工股関節手術も保険適用です。関節注射は自費になります。

Q3. 何回通う必要がありますか?
症状や治療内容によりますが、リハビリは週1〜2回、注射は数週間〜数ヶ月ごとに行うことが多いです。

参考文献

  • 日本整形外科学会. 変形性股関節症診療ガイドライン 2020
  • NICE. Osteoarthritis: care and management (CG177)
  • The Lancet. "Osteoarthritis: pathogenesis and therapeutic strategies", 2021