【学会参加】日本リウマチ学会2024(2)|ガイドライン2024改訂① メトトレキサート皮下注製剤の位置づけ

2024/04/26

先日、参加した日本リウマチ学会で先日発表された関節リウマチ診療ガイドライン2024のシンポジウムを拝聴しました。

今回の改訂は、大規模なものではありませんが、

1)アルゴリズムにメトトレキサート製剤の注射製剤が記載されたこと

2)JAK阻害薬とbDMARDsが別記載になり、bDMARDsの使用を優先すること

3)高齢者のリウマチ患者の記載

4)周産期に関する記載

が主な変更点でした。

1)アルゴリズムにメトトレキサート製剤(以下MTX)の注射製剤が記載されたこと

メトトレキサート (MTX) 皮下注製剤が2022年に保険収載されたため、 MTX皮下注製剤がアルゴリズムに追加されました。 アルゴリズム上では経口か皮下注かの区別はなく、 いずれの剤型でも選択可能です。 

皮下注の長所としては

①内服よりも優れた有効性

②同等以上の安全性

③悪心・食欲不振などの副作用が少ない

といったことが挙げられます。

ただし、 コスト面からMTX未投与患者では内服が優先されているため、 経口可能な患者は経口から開始し、 増量過程で皮下注へと切り替えていくこととアルゴリズムの注釈でも述べられています。

当院でも、MTX内服製剤でコントロールが困難な方には、積極的にMTX皮下注製剤を使用しています。

関節リウマチの治療でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

次回は、2)JAK阻害薬とbDMARDsが別記載になり、bDMARDsの使用を優先することについて述べたいと思います。

執筆者情報

日本整形外科学会専門医 伊達 亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長)
福岡大学医学部医学科を卒業後、山口大学医学部付属病院整形外科・麻酔科での経験を経て現職に至る。日本整形外科学会専門医 、日本骨粗鬆症学会専門医 、日本リハビリテーション医学会専門医 など多岐にわたる専門医資格を保持し、地域の「寝たきりゼロ」をミッションに掲げ、骨粗しょう症の早期発見・早期治療、および運動器リハビリによる転倒予防に尽力している。

*ガイドラインアルゴリズムは、日本リウマチ学会ガイドライン2024より転載