
前回に引き続いて、関節リウマチ診療ガイドライン2024のシンポジウムについて私見を述べます。
今回の改訂では、高齢者の関節リウマチについての記載が変更・一部追記されました。
高齢者のリウマチは、1)以前からリウマチ患者さんだった方が、高齢者になるパターン2)高齢になってから発症する(高齢発症パターン)に分けられます。高齢発症パターンは、大きな関節に発症するケースが若年発症のリウマチよりも多い印象があります。
高齢者は、腎機能の低下・治療による感染症のリスク・悪性腫瘍・帯状疱疹・血栓症のリスクなど注意する点が多いです。
合併症のリスクを考慮しながら、関節破壊の進行を抑える必要があるため、今回のガイドラインでもMTXやbDMARDsの使用を条件付きとしながらも推奨しています。
また。副腎皮質ステロイドの使用の内容は前回から変更はありませんが、 ステロイド5mg/日という具体的な量について言及されました。当院では、できるだけステロイドの使用を避けるようにしていますが、MTXの使用や増量が難しい方に限定的に使用するようにしています。

次回は、4)妊娠とリウマチについて述べたいと思います。
*MTX(メソトレキセート)・・リウマチ治療のアンカードラッグと呼ばれる基本になるお薬です
*csDMARD(conventional DMARD)・・従来型の抗リウマチ薬の略称
*bDMARD(bioDMARD)・・生物学的製剤
日本整形外科学会専門医 伊達 亮(だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長)
福岡大学医学部医学科を卒業後、山口大学医学部付属病院整形外科・麻酔科での経験を経て現職に至る。日本整形外科学会専門医 、日本骨粗鬆症学会専門医 、日本リハビリテーション医学会専門医 など多岐にわたる専門医資格を保持し、地域の「寝たきりゼロ」をミッションに掲げ、骨粗しょう症の早期発見・早期治療、および運動器リハビリによる転倒予防に尽力している。