だて整形外科リハビリテーションクリニック

関節リウマチ 治療

2021/12/23

薬物療法を中心に行い、適宜リハビリを追加していきます。
重要なのは関節破壊の抑制効果です。

種類関節破壊抑制副作用
消炎鎮痛薬(NSAIDs)×胃潰瘍など
ステロイド×血糖値上昇、骨粗鬆症など多岐にわたる
抗リウマチ薬(DMARDs)感染症、間質性肺炎など
生物学的製剤DMARDsと同様だがより注意が必要
Jak阻害薬感染症、帯状疱疹など
  1. 消炎鎮痛薬(NSAIDs:エヌセイズ)
    関節の腫れや痛みを和らげる働きがありますが、関節破壊を抑制する効果は低いです。胃潰瘍や十二指腸潰瘍に十分に注意する必要があります。
  2. ステロイド
    炎症を抑えますが、関節の破壊を抑えることはできません。治療開始早期に限定的に使用することはありますが、抗リウマチ薬や生物学的製剤の効果が出てきたタイミングで早期に中止します。当クリニックでは基本的に使用しませんが、症状が激しいときやリウマチ性多発筋痛症の方には使用することもあります。ステロイドには感染症、糖尿病や骨粗鬆症などを引き起こす恐れがあるため、連用する場合には十分な注意が必要です。
  3. 抗リウマチ薬(DMARDs:ディーマーズ)
    関節リウマチの原因である免疫の暴走を抑えて、病気の進行を抑える働きがあります。効果が出るまでに1~2ヶ月かかります。効果が不十分な場合ときは、他の抗リウマチ薬を併用したり生物学的製剤に切り替えたり併用することもあります。

当クリニックで使用する主なDMARDs

種類特徴副作用
メトトレキサート
商品名:リウマトレックス、メトレート
リウマチ患者さんに最初に使用する薬効果の発現が比較的早いリウマチ治療のアンカー製剤とよばれており、第1選択薬です。体のだるさ汎血球減少(白血球などが減少)間質性肺炎肝機能・腎機能障害など
サラゾスルファピリジン
商品名:アザルフィジン
リウマトレックスが使用できない方や
年齢の高い方に使用します
汎血球減少肝機能・腎機能障害間質性肺炎
イグラチモド
商品名:コルベット、ケアラム
効果発現が遅いサラゾスルファピリジンとの比較をしても効果に差がない
他剤と比して安価
汎血球減少肝機能障害など間質性肺炎消化性潰瘍

4.生物学的製剤
【特徴】
炎症を引き起こすサイトカイン(TNFαやIL-6など)の働きを妨げ、関節破壊を強力に抑えます。注射(点滴または皮下注射)で投与します。当クリニックでは、皮下注射を推奨しています。自宅で注射でき、通院回数を減らせますし、ご高齢の方や手が変形して細かい動作が行いにくい方でも比較的簡単に使用できるように工夫されています。
【副作用】
免疫反応を強力に抑えるため、肺炎や結核・B型肝炎などの感染症が起こることがあります。

製品名アクテムラオレンシアシンポニーエンブレルエタネルセプトBS
作用機序IL-6阻害薬T細胞阻害薬TNF阻害薬
投与方法皮下注
薬価(1錠、1本あたり)39,29128,233121,52728,23317,246
1回量(本)11111
投与間隔2週間に1回1週間に1回4週間に1回1週間に1回
薬価(28日)薬価(28日)78,582112,932121,527125,00868,984
1割負担7,85811,29312,15312,5016,898
3割負担23,57533,88036,45837,50220,695
特徴(私見含む)炎症を強力に抑える薬価が安い感染症のリスクが少し低い抗CCP抗体が高値の方に有効性が高い4週間に1回の投与で済む(1-2本使用)妊娠希望の方に第1選択の薬剤エンブレルのジェネリック

(薬価は2018年4月時点)ほかに診察料や検査料、処方せん料などがかかる場合があります

生物学的製剤は効果がある反面、非常に高額です。
高額療養費制度を使用することで、自己負担額を軽減することができます。