
「膝が痛い」という悩みを抱えている方は、全国で約3,000万人いると推計されています(日本整形外科学会)。とくに50代以降に多く見られる変形性膝関節症は、膝の軟骨(なんこつ)がすり減ることで痛みや動きにくさが生じる病気です。
下関市のだて整形外科リハビリテーションクリニックでも、膝の痛みでご来院される患者さんはとても多くいらっしゃいます。今回は、変形性膝関節症の代表的な治療法である「ヒアルロン酸注射」について解説します。
📞 膝の痛みが気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
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ヒアルロン酸(ヒアルロンさん)は、もともと私たちの関節の中にある成分です。変形性膝関節症になると、この関節液中のヒアルロン酸の量が減ったり、性質が変わったりします。そこで、不足したヒアルロン酸を注射で補うのが「ヒアルロン酸注射」です。
ヒアルロン酸注射には、大きく次の4つのはたらきが期待できます。
まず最初の5週間は、週1回のペースで注射を行います。この期間は、関節内の炎症を落ち着かせることを目的としています。
その後は、2〜4週間おきに注射を続けて効果を維持します。症状が安定してきたら、月1回程度のペースで長く続けていくことが理想です。
ヒアルロン酸注射の効果は、1回の注射で2〜4週間程度持続するとされています。
ただし、注射の翌日に劇的に痛みが消えるような即効性はあまり期待できません。数回続けていくうちに、徐々に痛みが和らいでくるのが一般的です。
また、ヒアルロン酸注射で「軟骨が再生する(もとに戻る)」わけではありません。あくまで痛みや炎症を抑えながら、関節の状態をできるだけ長く保つための治療です。
🩺 院長より
ヒアルロン酸注射に関して、ぜひ治療の目的を変える意識を持っていただきたいと思います。「痛くなったら来る」ではなく、「悪くならないように続ける」——これがヒアルロン酸注射の本来の役割です。関節の中の炎症は、火事にたとえることができます。火事が起きてから慌てて消火するのではなく、日頃から火の元を管理して火事が起きないようにすること。これが、自分の足で長く歩き続けるための秘訣だと考えています。― 院長 伊達 亮
「痛みが引いた」と感じても、それは軟骨のすり減りが治ったわけではありません。途中でヒアルロン酸注射をやめてしまうと、再び炎症が起きたり、軟骨の摩耗(まもう)が進んだりするリスクがあります。
ヒアルロン酸注射を継続することで、人工関節への移行を数年単位で遅らせられる可能性があるというデータもあります。定期的にメンテナンスに来ていただくイメージで、通院を続けていただくことをお勧めします。
ヒアルロン酸注射は有効な治療ですが、それだけでは不十分なことも多いです。とくに重要なのが体重管理と筋力強化です。
体重が1kg増えると、膝への負担は次のように増えます。
逆に言えば、1kg体重を減らすだけで、膝にかかる負担を3〜5kg分も軽くできる可能性があります。また、脂肪細胞からは炎症を引き起こす物質が分泌されることが知られており、肥満は膝の炎症を悪化させる要因にもなります。
太ももの筋肉(大腿四頭筋など)は、天然のサポーターのような役割を果たしています。この筋肉が衰えると、膝関節への負担が増えてしまいます。
痛みがあると動けなくなり、動かないと筋力が落ち、さらに体重が増えて膝への負担が増す——この悪循環を断ち切るために、リハビリで筋力をつけることがとても大切です。
変形性膝関節症は、レントゲンで見た進行の程度によって主に4つのステージに分けられます。
| ステージ | 状態と主な症状 |
|---|---|
| ステージ1 | ほぼ正常(変化が疑われる段階)/ 歩き始めの違和感 |
| ステージ2 | 隙間がやや狭くなり、骨の棘が出現 / 階段の昇り降りが辛い |
| ステージ3 | 隙間が半分程度に狭くなる / O脚が目立ち始める |
| ステージ4 | 隙間がほぼなくなる / 安静時痛も強く、歩行困難 |
ヒアルロン酸注射が効果的なのは、主にステージ1〜2の段階です。ステージが進んでも、すぐに手術が必要というわけではありません。当院ではラジオ波治療やPFC-FD治療といった「第三の選択肢」もご用意しています。
次のような症状がある方は、早めに整形外科専門医を受診されることをお勧めします。
これらはいずれも、専門的な評価が必要なサインです。「様子を見ていれば治る」と放置すると、症状が悪化するリスクがあります。
Q1. ヒアルロン酸注射は痛いですか?
個人差がありますが、多くの方は「チクッとする程度」と感じます。注射後に一時的に膝が重だるく感じることもありますが、通常は数日で落ち着きます。
Q2. 痛みを感じられなくなってきました。やめてもいいですか?
痛みが落ち着いていても、軟骨のすり減り自体が治ったわけではありません。ヒアルロン酸注射は「予防的に続ける」ことに意味があります。やめるかどうかは必ず担当医に相談してください。
Q3. ヒアルロン酸注射はどのくらいの期間続ければよいですか?
病状の進行度や症状によって異なります。ステージが進む前から継続することで、人工関節への移行を遅らせる効果が期待できます。
Q4. ヒアルロン酸注射と運動療法は同時にできますか?
はい、むしろ組み合わせることが推奨されます。注射で痛みを抑えながらリハビリを行うことで、より効果的に膝の機能を維持できます。
Q5. 手術は避けたいのですが、他に選択肢はありますか?
当院ではラジオ波治療やPFC-FD治療(再生医療)といった選択肢もご用意しています。手術に踏み切る前にご相談ください。
変形性膝関節症に対するヒアルロン酸注射は、正しく継続することで膝の状態を長く保つための有効な治療法です。
大切なのは「痛くなったら来る」という受け身の姿勢から、「悪くならないように続ける」という予防の意識に切り替えること。体重管理やリハビリと組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
下関市・長府・新下関など近隣にお住まいの方は、お気軽にだて整形外科リハビリテーションクリニックへご来院ください。
伊達 亮(だて りょう) だて整形外科リハビリテーションクリニック 院長
〒751-0849 山口県下関市綾羅木本町2-4-22
主な資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本整形外科学会認定リハビリテーション医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本骨粗鬆症学会専門医
経歴:2002年 福岡大学医学部卒業。山口大学医学部付属病院をはじめ、複数の医療機関で整形外科・麻酔科を経験後、現職。骨・関節疾患のリハビリテーション治療に力を入れている。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。診断や治療には医師の診察が必要です。気になる症状がある方は、医療機関を受診のうえご相談ください。